がん保険は本当に必要?治療経験者Aさん・Bさんの”リアルがん治療”

保険

インスタの投稿では語りきれなかった「がん治療のリアル」

先日のインスタで「がん保険、いらんらしいで!」というサムネの投稿をしました。ありがたいことにたくさんのかたにご覧いただきましたが、インスタだけではどうしても“表面の話”しかできません。

今回は、私が身近で見てきた2つの全く違うがん治療の実体験をもとに、治療とお金のリアルをまとめました。

どちらも仮名ですが、実際に起きたできごとです。読み進める中で、きっとあなたの考えにも変化があると思います。

Aさんのケース:11年間の治療を続けてきた女性

主治医への信頼で「標準治療」を選び続けた

Aさんは11年前に乳がんを告知されました。それ以来ずっと、同じ先生のもとで標準治療を続けてきました。健康保険対象の抗がん剤を使用して、しばらくは効くのですが、効果がなくなるとまた次の抗がん剤という形で11年過ごしてきました。

「ほかの治療法も気にはなったけれど、この先生にずっと診てもらってきたから、他の選択肢をとれなかった」そうでした。

がん治療は長期間続けていきます。その中で医師との関係性や信頼感が強くなっていく一方で、治療の幅が広がらないまま進んでいくケースは決して珍しくありません。

先生が行っている治療法以外の治療法が効果的であっても、「この病院で治療やめます!」って言い出しにくいですよね。他にいってしまったらもう戻ってこれないし・・・。

治療費以外にかかった“リアルなお金”

Aさんの話で印象的だったのは、治療費よりも治療費以外の出費。みなさん、がん治療ってどんなことにお金がかかると思いますか?まず思い当たるのが・・・

  • 抗がん剤の薬剤代
  • 入院費用
  • 手術や放射線治療費

こんな感じでしょうか。もちろんこれらもかかります。公的保険制度の対象となる部分は高額療養費によって自己負担の上限があり、それ以外のものは自己負担です。

思ったよりお金がかかるのはこんなところなんです。

  • ウィッグ代:抗がん剤で髪が抜けたら必要ですよね。でも、髪って実は放っておいたら少しずつ伸びるし、定期的にカットもいくのでそのたびに髪型って微妙に変わりますよね。ウィッグだと常に同じなので、女性同士だとやはりその違和感に気づいてしまいます。そこでいろんな種類のウィッグが必要になってきます。また素材の質感などやフィット感も違います。値段がたかくなればなるだけより自然なウィッグになるんです。費用は数万円から100万円近くするものまでピンキリです。
  • 治療で体型が変わり買いなおした服:乳がんでリンパ切除した場合「リンパ浮腫」になってしまうことがあります。そうするとリンパから腕の当たりが腫れてどんどん服が入らなくなるそうです。そのたびにサイズの違う服をかわないといけないのも負担だそうですよ。
  • 外食(料理ができない日が続いた):抗がん剤を使用すると、気分が悪くて動けなくなる日があります。その日は家事ができないので、家族には外食してきてもらうしかありません。外食も多くなると生活費を圧迫しますよね。

このように、直接的に治療費ではないものの、がんの治療をすることでいままでの生活とはお金のかかるところが変わってきます。“治療費以外”の思ってもいないところにお金がかかり大変だったと話してくれました。

Bさんのケース:診断直後に「遺伝子パネル検査」を受けた男性

最初に検査したことで、治療の幅が一気に広がった

Bさんは肺がんの診断を受け、治療に向けての検査がはじまりました。最初に先生から告げられたのは・・・。「標準治療は効果がない」「自由診療の抗がん剤でこの薬なら効きそうだ」遺伝子パネル検査の結果も併せて聞かされたそうです。

遺伝子パネル検査って、通常標準治療に効果がなかった場合に健康保険対象となります。それ以外は検査費用も自費なので最初から受ける人ってあまり多くいません。しかい、このBさんの場合、この病院負担で遺伝子パネル検査をおこなってくれていたようでした。(病院側では治療実績が欲しかったのかもしれません)

もし標準治療からはじめていたら効果のない治療をすることになっていた。それを考えるとBさんはラッキーだったと思います。

このBさんは、自由診療の抗がん剤を使って、副作用も少なく治療を始められたそうです。

自由診療の現実:お金の余裕が“選択肢”になる

自由診療の抗がん剤は、ほとんどが自己負担。ここが大きな問題点になります。公的医療保険も、高額療養費制度も使えず、治療費はすべて家計から支払うことになります。

もし、最初から遺伝子パネル検査をしようと思えばその費用が自費で必要。そして実際に自由診療抗がん剤の治療費が必要。となります。

お金があれば、”どの治療を受けるのか選択できる”ということですよね。さすがに一般家庭に、治療に数百万払える余裕なんてないでしょうから、生きるための治療方法を自分で選ぶには「がん保険」が必要になってくるんですね。

Aさん・Bさんのケースから見えてくること

共通するのは「健康保険があってもお金もかかる」こと

ちまたのSNSでは「健康保険があるから”がん保険”はいらない」「高額療養費があるから”がん保険”はいらない」と謳っていますが、実際には健康保険があったとしても「多額のお金がかかる」のが”がん治療”なんです。特に、治療費以外にもお金がかかります。

  • 食事
  • 洋服
  • 交通費
  • 日常生活の小さな出費

こうした費用は誰にでも起こり得る現実です。

違いは「選べた治療の幅」

またがん治療は、どんな治療をするのか選択するのが難しいです。Aさんのように、標準治療を試していって、もう効く薬剤がないとなったところで、自由診療の選択肢が出てくるのが医療の現状です。

Bさんのように、思わぬタイミングで、病院のおかげで最初から効く薬剤のみで治療ができたのはラッキーとしか言いようがありません。

病院がどんな治療方針を主としているかでも今後の治療内容は変わってきます。

そしてそれだけではなく、たとえ自由に治療に選べる環境にあったとしても、「お金」がなければ治療を受けられないということ大きな弊害となっています。

私が2つの話から強く感じたこと

かつて、一人暮らしだった時の私は「がん保険はいらない」「がんになったらホスピスで死ぬ」なんて思っていました。でも、今私は思うのです。

がんになったら、できることなんでも試して「生き延びたい」

家族がいる方、夢がある方、いざ自分がこの立場になったら「生きたい」って思うんじゃないでしょうか?

わたしがこの2つの話を聞いて感じたことは。「がん治療に必要なのは、”チャンス”と”お金”なんだな」ということです。

自分の体にあった治療ができる”チャンス”、そして治療が選べるだけの”お金”。これらが絶対的に必要だと思いました。

チャンスは、実際にがんになったときにその先生の治療方針が正しいか、自分にあっているか確認するためにも「セカンドオピニオン」などをうけることで開けてくると思います。

一方で「お金」に関しては、がんのためにそれ相当の現金をためておくか・・・「がん保険で準備するか」だと思います。お金をためるより簡単に入れる”がん保険”は、私たちに「治療の選択の自由」を与えてくれる武器となり得ると思っています。

まとめ:インスタでは言えない“リアル”こそ大事

インスタでは短い表現になりがちで、なかなか細かいお話を伝えることができません。また皆さんの目をとめるため強めの言い方になります。

けれど本当は、「がん治療は、想像以上にお金も選択も必要になる」という現実があります。

がんになったらどんな治療をしたいのか?がん保険にはいるのか入らないのか?選択の自由は与えられています。しかし知らなくて、いざというときに困らないように、私はみなさんに治療とお金のリアルを伝えていけたらいいなと思っています。

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