「老後破産」という言葉を耳にしたことはありますか?定年後、年金や貯蓄だけでは生活が立ち行かなくなってしまうことを指します。決して特別な人だけの話ではなく、誰にでも起こり得る可能性があるのが怖いところ。 この記事では 老後破産の3つの原因 と、 それを防ぐための3つの対策 をわかりやすく解説します。
老後破産の3つの原因

原因①:収入不足(年金だけでは足りない)
多くの家庭では、老後の生活費は年金でまかなうことを想定しています。 夫婦二人でかかる生活費は、2022年に発表された「家計調査年報」によると、老後(65歳以上)の生活費は、夫婦2人暮らしで26万8,508円、1人暮らしで15万5,495円となっていました。 一方、年金の受給額平均はこのようになっています。
【夫婦共働きで会社員の場合の平均年金月額】(厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)
- 男性:月額16万6,606円
- 女性:月額10万7,200円 合計:約26万円
【夫婦2人とも自営業の場合の平均年金額(月額)】(厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)
- 男性:月額5万8,628円
- 女性:月額5万4,426円 合計:約11万円
夫婦二人ともが会社員で厚生年金の加入期間が長ければ必要生活費ぴったりくらいですね。つまり厚生年金にフルに近い状態で加入して生活費がやっと賄えるくらい。期間が短いもしくは自営業などで国民年金にしか加入していない場合は、年金だけで生活していくのはほぼ不可能となります。
原因②:医療費・介護費の想定外の支出
また年齢を重ねるにつれて、注意しなければならないのは「病気や介護のリスク」です。公的医療保険制度があるといえど自己負担は必要になってきます。さらに介護状態になれば公的介護保険の介護サービスをうけるごとに費用が発生します。家族で面倒が見れないから施設に入居しようとなった場合は下記のようになります。
【介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1ヶ月の自己負担の目安】
- 要介護5で多床室利用:約106,930円
- 要介護5でユニット型個室利用:約143,980円
これも自分の年金でカバーしようと思ってもなかなか難しい金額ですよね。 「健康だから大丈夫」と思っていても、突然の病気やケガで医療費がかさみ、貯蓄を一気に減らしてしまうこともあります。
原因③:ライフプランの誤算(住居・借金・長生き)
「賃貸」暮らしの人は「家賃」をずっと払い続けなければなりません。また「持ち家があるから安心」と思っていても、修繕費や固定資産税は継続して必要です。
長い住宅ローンを組んでいる人は、退職までにローンを完済できなければ、老後も支払いが続きます。継続雇用を見越してローン返済していても、ある日突然解雇になってしまうかもしれない。そうなれば返済計画はくるってしまいますよね。
たくさんもらった退職金。取り崩して生活していけば、死ぬまで足りるだろうと使っていたら、思っていたより長生きして資金が底をつく・・・なんてもこともあり得ます。長生きだってリスクになる時代です。
老後破産を防ぐ3つの対策

対策①:資産形成と収入源の確保
公的年金だけでは生活をしていくには足りません。自分で老後の生活資金を作る努力が必要となります。そこで、まずすぐできるのは、iDeCoやNISAで少しずつ老後資金を増やしておくことです。いまからリタイアまでの時間を有効活用して資産を増やしておきましょう。
例えば、月1万円の積み立てながら10年運用しただけでも、利率が3%で運用できたら10年後には約115%に資産が増えています。20年運用できたとしたら、約136%に資産は増えています。
気づいたときにすぐ始めることが運用で老後の生活をカバーするポイントです。 運用シミュレーション参照
それに加えて、定年後も週に数日働く、趣味を活かして収入を得るなど「小さな稼ぎ口」を持つことで、生活にゆとりが生まれます。大それた「仕事」的なものでなくても、「知り合いにピアノを教える」とか「『Creema』でハンドメイド小物を販売する」とか「『note』で有料記事を書くとか」今から少しだけでもできる仕込みを始めておくこともポイントですね。
対策②:固定費と保険の見直し
とはいえ、実入りを増やすのはそう簡単なことではありませんよね。一番効果的なのは、毎月出ていくお金を減らすことです。
現役世代の方に「固定費」を減らしましょうとインスタでもお伝えしていますが、一番生活の要になってくる「固定費」をしっかり都度見直ししておくことは有効です。
リタイアしてから一気に固定費を削ろうとすると、生活水準が下がったような気がして大変です。しかし、定期的に見直しておくことで自分が今何にお金をつかっているか?不要なものはないか?認識できるので、生活水準を下げるのではなく「不要なものを持たない」生活をしていくことができるようになります。
固定費の見直しにあたっては「スマホ代」「サブスク」「保険料」などは見直しの余地が大きい部分。
スマホは格安SIMに変えることで、サブスクは不要なものを解約するだけで1万円は安くなります。保険に関しては、「今本当に必要な保障に入っているか?」「過剰に入りすぎていないか」「保険で貯蓄している割合が多すぎないか?」をチェックして、必要最小限に整理することが老後の安心につながります。
対策③:セーフティネットを知っておく
もちろん自助努力も大事ですが、社会保障制度や国の補助などつかえる制度を知っておくことも大切です。意外とたくさんの補助制度がありますよ。
- 公的医療保険の高額療養費制度(医療費の自己負担が一定額を超えると払い戻し)
- 公的介護保険制度の負担上限
- 生活保護(年金受給者でも条件を満たせば利用可能)
- 身体障碍者手帳(手帳を取得することで交通機関の運賃負担額が減るなど補助がうけられます)
- 市区町村で運営されている各種補助金・助成金(大阪府では軽度聴力障碍者の補聴器助成金制度があります)
市区町村からくるお便り(冊子など)。たまには目を通してみてくださいね。意外な制度があるかもしれません。こういったセーフティネットを知っていることで支出を減らすことができるかもしれませんよ。
我が家の体験談

私の実家は、決して裕福ではない普通の家庭でした。子供のころから団地暮らしで、「持ち家に住みたい」という思いをずっと抱えていました。
そんな中、父が60歳で定年を迎えると同時にマンションを購入。ローンはなんと35年で、完済は95歳まで。当時から「大丈夫かな?」と思ってはいたものの、私はまだ若く深く考えずにいました。父はその後継続雇用で働き、「80歳までは働く」と宣言していました。
しかし父が78歳になった頃、父から「会社を解雇になった」と打ち明けられました。理由は、父が勤務していた下請け会社と親会社間のもめごとで、結果高齢者が解雇になったものでした。仕事一筋だった父は、急な解雇に元気を失い、このまま倒れてしまうんじゃないかなというほどに憔悴していました。
それも少しマシになった数年後、今度は「家を売りたい」と父から連絡がありました。年金だけでローンや固定資産税を払うのは負担が大きく、家の維持が難しいから数年前から考えていた。とのことでした。
そこで、本当に払えないか?ローンはどれだけ残っているか?本当に今売るべきなのか?話合いました。そこで初めて、実家にはほとんど貯金がなく、たまに姉にお金を借りながら年金を自転車操業していたことを知ったのです!
なんとなく感じてはいましたが、思っていた以上のお金のなさに正直、愕然としました。「このまま病気や介護が必要になったら、どうするつもりだったのだろう…」と背筋が凍りました。
「このままだと私も共倒れする!」そうおもい一気に家の売却に動きました。
幸い、家は思ったより高く売却でき、現金が入ってきたので父母の万一の資金として手元に準備することができました。でも一歩間違えば、完全に老後破産だったと思います。
母は若いころから「子どもに迷惑はかけへん!」と豪語していましたが…今思えば、どの口が言うんやろう(笑)と苦笑いです。
まとめ

わたしも最近まで具体的に「老後にお金がどれくらいいる」と考えていませんでした。今貯めれるものをなんとなく貯めていく。そんな生活でした。老後破産は、
- 収入不足
- 医療・介護費の増加
- ライフプランの誤算
といった原因からいとも簡単に誰もが起きるかもしれないものです。でも、これを見ていただいている方みなさん。まだまだ予防の策はありますよ!
- 資産形成や小さな収入源の確保
- 固定費の見直し
- 公的制度の理解
といった対策をとれば、防ぐことは十分に可能です。
とくにまだゆとりがある間に少額でも資産運用しておくことで「お金の寿命」は伸ばせますし、固定費を見直すことでうまくいけば年間数万円支出を減らすこともできます。
またもしかしたらすでに使える公的制度があって、それを使えば生活費が少なくて済むかもしれません。
「まだ先の話」と思っているうちに、一歩ずつ備えていきましょう。そして「今気づいたときに」動き出しましょう。その一歩が、未来の自分への安心につながります。
みなさんの老後の生活が心穏やかなものになりますように! インスタグラムでは保険やお金のこと、そしてゴルフにかかわるお話もいろいろしています。よかったこちらも見てね!!
ライフプランニングのインスタグラム→→Instagram
ゴルフメインのインスタグラム→golf instagram
コメント